小学校低学年の子や野球経験が浅い子はボールを捕る、投げるといった基本的な守備練習もままならないということもあると思います。
チームの全体練習だと高学年中心の練習となって基礎的な部分を教われなかったりすることも多くみられます。
低学年の子や野球経験の浅い子に共通するボールが捕れない原因を明確にして、捕れるようにするための基礎的な練習方法をご紹介します。
多少のスペースがあれば自主トレや家の中でもできるものもあります。
低学年の子がボールが捕れない原因
低学年の子はバウンドが読めない
野球の経験が浅い子と守備が苦手な子に共通するのは、ボールがどのようにバウンドするか予測ができないことがあります。
ボールの軌道を読めないので、ボールのコースに入るのが遅れたり、ボール自体を怖がってしまい、ボールが捕れないのです。
バットを使ってノックを打つとバウンドがランダムになります。
それが低学年の子には難しいのです。
低学年の子はボールがつかめない
低学年の子どもがボールのコースに入ってもボールをこぼしてしまうことがよくあります。
これは手が小さくてグローブをうまく使えないことが一つ。
もう一つが、グローブにボールが入った瞬間につかんでいないことがあります。
ボールをつかむタイミングは練習によって感覚を養うことができます。
低学年の子は落下位置が予測できない
バウンドが読めないのと同じく、フライが上がった時の落下位置を低学年の子は予測できません。
予測ができないので足が動かせずバンザイしたり手だけで捕りにいってしまったりします。
低学年の子は正確な送球ができない
低学年の子は正確な送球も毎回行うことが難しいです。
ノックはボールを捕る→投げるが連続して行われる練習です。
捕る、投げるだけでも上手にできないことが多い低学年の子にノックを行うのはやることが多すぎてうまくできません。
低学年の守備練習 ゴロ捕球編
低学年の守備練習にはノックは不要もしくはごく短時間の練習で十分だと思っています。
その代わりに手で投げる、転がす練習を多く取り入れるのがおすすめです。
ゴロ捕球では2つのパターンで繰り返し練習するのが良いでしょう。
- 転がるゴロ
- 弱いバウンドゴロ
転がるゴロの捕球練習
バウンドがわからない子には地面を這うように進む転がるゴロから始めましょう。
転がってくるボールに合わせてタイミングよくグローブを使ってボールを掴む感覚を身に付けてもらいます。
慣れるまでは正面に転がしてあげるようにして、グローブを使うことに集中させると良いです。
タイミングよくグローブで掴めるようになれば、横移動や前後の移動を加えて動きながら捕る動きを加えていきます。
弱いバウンドゴロの捕球練習
5mほど離れた場所から弱いバウンドのボールを投げます。
慣れるまではなるべくイレギュラーの少ない平坦な場所を選んであげましょう。
イレギュラーの可能性が低ければボールをよくみながら捕球に入れます。
野球においてバウンドしたボールはバウンド直後もしくは落下してくるところを狙うというセオリーがありますが、低学年のうちはそうした技術的な話は難しいため、捕る位置についてはあまり口うるさく言わなくても大丈夫です。
ボールに慣れてから技術をつけていけば十分習得できるはずです。
弱いバウンドのゴロにするのは、恐怖心が少ないため最後までボールを見るためです。
エラーしてしまうのはあまり気にせず、ボールをよく見ているかをチェックするのがポイントです。
自宅や一人での練習で、壁に向かってボールを投げられないなら、フィールディングネットがおすすめ。
ネットに向かって投げれば、ゴロや小フライなど様々なボールが跳ね返ってくるので、ボールを良く見て捕球する練習ができます!
低学年の守備練習 フライ捕球編
ゴロの次はフライです。
少年野球では試合経験を積むという場合、守備は外野から経験することも多いと思います。
低学年のうちは外野にフライが飛んでくること自体あまり多くありませんが、フライが捕れるというのは試合に出る・出ないに関わってくる要素になりうることですので、ぜひ自主トレでも取り組みましょう。
低学年の子がフライ捕球時に多くみられるのが「落下位置に入れない」こと。
これが起こる原因は高いところから落ちてくるボールが体に当たったらどうしよう、という恐怖感から入れない場合と予測ができないことが原因の場合の2通りあります。
ですので、まずはトスの要領で下から3mくらいの高さに投げてあげ、キャッチさせるという練習から入ります。
軟式のボールでも怖がるようであれば、テニスボールやプラスチックボールなどでも構いません。
テニスボールやプラスチックボールは少々弾きやすいですが、落下地点に入れればまずはOKという形で行いましょう。
もし、それでも怖いのであれば、一旦落下点に入って、避けるという形でもかまいません。
トスをあげる際に注意して欲しいのはお子さんの立っている位置から1歩〜2歩の間のところに落ちるようにコントロールすること。
前後左右の移動を伴うと難しくなります。
あくまでも落下地点に入って捕るという部分にフォーカスして行うのがポイントです。
慣れてきたら前後左右に多少の移動を伴う動きを混ぜていきましょう。
低学年の守備練習 送球編
これまでゴロ・フライとごく基本的な練習法をご紹介しました。
基本的にはゴロとフライは子どもと親やコーチが1対1で行える練習でした。
送球については子ども1人に対し、大人2人が必要です。
自主トレなどで大人が1人しかいない場合は、ボールを受けられるネットがあればいいでしょう。
練習手順としてはイージーゴロを転がす→捕球する→ファーストに送球というごく簡単なものです。
このとき、ゴロを捕球するお子さんとファースト役の距離は無理なくノーバウンドで届く近めの距離にしましょう。
送球は腕の振りで投げるというよりも、捕球からのステップを使って投げるものです。
足を使って山なりではない送球をしているかチェックしてあげましょう。
捕球役が大人にした方がいいのは、狙う的が大きい方が投げやすいから。
大事なのはステップを使って投げることですので、コントロールに意識をもっていくことを最小限にする意味合いがあります。
低学年の子には飽きないように工夫するのが大事ですね!
低学年向け守備の基礎練習メニュー
捕球の練習メニュー
低学年なら、拾うまたは捕るまでで送球は無くてOKです。
子どもの送球があっちこっちに行ってしまうので、送球は無い方が効率的かもしれません。
捕ったらカゴに入れるという感じにすると良いと思います。
慣れるまでは送球は別メニューで組むのが良いでしょう。
このメニューの良いところは、何人か同時にできること。
低学年の子どもだとノックの待ち時間に集中力を切らせてしまうことが多くありますが、何人か同時に行うことでなるべく一人ひとりの待ち時間を少なくすることができます。
手投げのゴロでも大人一人で子ども二人を相手にできます。
まずは捕るということに集中させれば、ボールをよく見て捕る習慣がつくのと、大人が高回転で回すことができる2つのメリットがあります。
送球の練習メニュー
低学年の子に送球の練習をするのは実は難しいです。
キャッチボールから始めることも多いと思いますが、低学年だと相手に向かってまともに投げられなかったり、捕る方も取れなかったりしてキャッチボールにならないということも多くあります。
キャッチボールが出来ないなら相手に向かって投げるのは捨ててしまいましょう。
ネットに向かって投げることを繰り返す方が効率的です。
狙いはアバウトでも投げる回数をこなすほうが低学年は特に早く上達します。
チームにはボール受けがついたネットを用意しているチームも多いと思います。
ボール受けがついたネットを的にして、ネットから数メートル離れて投げる練習です。
非常にシンプルですが、低学年同士でキャッチボールをするよりも投げる動作を繰り返すならこうしたネットが便利です。
低学年はキャッチボールだと暴投したり、捕れなかったりが多く、時間ばっかりかかりますし、集中力も切れやすいです。
ボール受けにボールが入れば成功、入らなければ失敗というようなゲーム性を持たせることもできるので子どもの集中力も保ちやすいですよ。
自主トレにも最適
今回紹介した練習法は低学年のお子さんを持つご家庭なら親子で一緒に取り組めるメニューがほとんどです。
うちの子も1年生〜2年生のころ、家の前で毎週土日の練習後に自主トレと称する遊びに付き合い、守備が大好きな子になりました。
そのおかげか、4年生ながら6年生の試合に出場し、内野手のレギュラーとして活躍。チームも市大会でベスト8などの成績を残しました。
少年野球で守備が出来る子はとても貴重な存在です。
それは、少年野球はエラーが多くそこから失点するケースが多いからです。
低学年のうちから守備を好きな子にすると、試合の出場が早くなるかもしれません。お父さんの運動不足解消にもなるのでぜひ。
家の中で練習するならイレギュラーバウンドするボールを使うのも練習になります。
イレギュラーするので捕るまでボールを見るクセがつきます。
紹介した練習に似たメニューが載った本がありました
最近読んだ本で筑波大学の准教授「川村 卓」先生の「新しい少年野球の教科書 科学的コーチングで身につく野球技術」という本がありました。
この本はジュニア期(少年野球〜中学野球くらい)の子どもの体の成長を考慮した練習法が紹介された本です。
この中で「捕球がうまくなるには、逃げる→落とす→捕る」の順番で慣れていくと上達が早いという箇所があります。
今回フライ捕球で紹介した方法もほぼこれと同じ意図です。
少年野球では怖いのは我慢しろ!という指導が多いと思いますが、実際上達するのが早いのは我慢させることよりも、経験値として蓄積させられる手段を選ぶことだと思っています。
この本ではこうした少年野球あるある的な部分の指導を科学的に説明してくれている貴重な内容です。
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