少年野球だとよく「下半身を鍛えろ!」と言われることが多いですよね。
小学生に鍛えろと言われても、、というのが正直な感想です。
とはいえ、これまで子どもを指導してきて確かに野球は下半身を上手に使うことが結果を残すためには重要だというのは身を持って理解しています。
ただ、小学生に鍛えろという指導はどうなのかな?と思うのもまた事実。
特に「とにかく走れ」という指導が多いのは疑問に思っています。
そこで、小学生向けの下半身主体のトレーニングとしておすすめしたい2つのトレーニングを紹介します。
小学生におすすめしたい2つの下半身主体のトレーニング
なわとび
小学生にとって最強のトレーニングは「なわとび」だと思います。
小学生にとってなわとびが最強トレーニングの理由
- 瞬発力と持久力を同時に鍛えられる
- 全身運動でリズム感も養われる
- 道具を使いながら体を動かす練習になる
- トレーニングの時間が短くて済む
- ケガのリスクも少ない
なわとびはリズミカルにジャンプを繰り返します。
ジャンプを繰り返す動作は下半身をメインにして体全体を使う運動です。
小学生は器具を使った筋力トレーニングは推奨されませんので、いわゆる自重トレーニングが主体となりますが、ジャンプは自重トレーニングの中でも一番負荷の高い動きです。
これを繰り返し行うことで瞬発力が身につき、全身運動なので持久力も鍛えられます。
なわにひっかからないように飛ぶ必要があり、リズム感も養われます。
走り込みでは持久力は鍛えられますが、瞬発力は身につきません。
さらに、ジャンプしながら腕や手首を使ってなわを回す動作なので、道具を使いながら体を動かします。
野球もグローブやバット、ボールといった道具を使いながら体を動かすスポーツなので、イメージ通りに体を動かす感覚も鍛えることができます。
これだけの能力を一度に鍛えられるのがなわとびです。
さらに、なわとびは10分も飛べばかなり汗をかくほど負荷の高い運動です。
ランニングとなわとびの運動強度を比較するとなわとびはランニングよりも高い運動強度です。
つまり10分ランニングをするよりも10分なわとびをする方が、体への負荷は大きくなります。
小学生は大人のように体を限界まで追い込んだトレーニングは必要ありませんから、トレーニングにかける時間もランニングよりも短く済ませることができます。
トレーニングにかかる時間が少ないことで、ケガのリスクも抑えられるなどなわとびはいいことづくめなのです。
野球の指導者の多くが勧める「走り込み」ですが、小学生にはほとんど意味が無いと思っています。
走り込みで鍛えられるのは主に心肺能力と筋持久力です。
子どもは内蔵も筋力も成長している途中です。
走り込みで鍛えられる心肺能力も筋持久力も体が成長してきたら期待している効果も得られますが、小学生のうちは期待している効果が得られにくいと言われています。
大人が行う筋トレをしても子どもはムキムキになれないのと同じ原理です。
つまり、小学生が長い距離を走って得られるのはちょっとの心肺能力と筋持久力の強化だけ。あとは頑張ったという達成感でしょうか。
野球の能力を高める効果としては期待ほどのものはあまり得られないのです。
関節の可動域を広げるトレーニング
小学生のトレーニングでもう一つ取り組んでほしいのが関節の可動域を広げるトレーニングです。
最近の子どもはゲームやスマホなどをする時間が長く、座っている時間が長くなっていると言われています。
座る時間が長いことで、足を使う機会が減って体を上手に使えない子が目立ちます。
体を上手に使えない子には関節の硬い子が多いように感じます。
今後スポーツを続けていく上では走る・強いボールを投げる(蹴る)ということをしていくには下半身を上手く使って力を伝えることが必要です。
そのためにも関節周りの可動域を広げ、使い方のコツを身に着けておくことは大事だと感じています。
下半身(特に股関節周り)の可動域を広げるトレーニングには「アウフバウトレーニング」が有効です。
アウフバウトレーニングとは、仰向けに寝て片足を上げ、地面ギリギリまで下ろすという片足の足上げ腹筋のようなトレーニングです。
もとはリハビリ用トレーニングで、体への負担は少ないですが可動性を高めることができるトレーニングです。
股関節の可動域を広げて使い方を学ぶことでピッチングのときに重要な体重移動がスムーズに行えるようになり、ピッチングの安定につながります。
コントロールが安定しない・球速が上がらないという人に特にオススメ!
ボールにキレを出す、フォームを安定させる自主トレはジャイロスティックを使うと子どもでもわかりやすく自主トレに取り組めます。
ジャイロスティックについてはこちらで解説しています。
走り込みは非効率!
野球の定番トレーニングといえば「走り込み」ですよね。
走り込みは一般的にはランニングのような長い距離を走ることが多いと思います。
このような走り込みで鍛えられるのは心肺機能と筋持久力です。
筋持久力を鍛えると、長い時間筋肉を動かし続けられるようになります。
ピッチングは同じ動作を何十回と繰り返すものなので、全く無関係というわけではありません。
ですが、小学生の体は成長途中のため、大人よりも筋肉を鍛えるのには時間がかかり、かつ限界もあると言われています。
なわとびはジャンプをする運動なので、走り込みでは鍛えられない瞬発力も鍛えることができます。また、ジャンプを繰り返すという運動でもあるため、筋持久力も鍛えられるバランスの良いトレーニングです。
なわとびと走り込みを比較すると、走り込みは非効率なトレーニングと言えるでしょう。
小学生向けのなわとびトレーニングメニュー
なわとびトレーニングのメリットは、省スペースで一人でも子どもでも簡単に取り組めることです。
ただ飛ぶだけでは単調で飽きやすい人もいると思いますので、片足跳び、二重跳びなど複数メニューを取り入れると飽きにくいと思います。
片足跳び
片足跳びは普通の前跳びよりもバランスが必要になります。
ピッチングは軸足でしっかり立つことと、踏み出しの足がブレないことでコントロールを安定させることができます。
片足跳びでピッチングの安定に必要なバランス感覚と下半身のパワーを養うことができます。
二重跳び
二重跳びの最大のコツは縄を素早く回すこと。
素早く回せれば高く飛ぼうとしなくても結構簡単に二重跳びができます。
ただ、二重跳びを連続で飛ぼうとすると、リズム感のほかに体がブレないように飛ぶ体幹の力が必要になってきます。
体幹が強くなることもピッチングの際のフォームの安定やコントロールの安定に関連してきます。
回数は多くなくても連続5回とか10回みたいな形でメニューに入れると、チャレンジするゲーム感覚で子どもも取り組みやすいと思います!
なわとびのメニュー構成と回数の目安
前跳び:50回
片足跳び:左右それぞれ20回
二重跳び:連続10回
これを1セットとして、2〜3セットがオススメ。
回数だけ見ると大したことないように見えますが、やってみるとかなりシンドいですよ!
なわとびのいいところは負荷が軽いと思ったら回数を増やせば負荷を簡単に上げられることです。
慣れてきたら自分で回数を調整してみてください!
アウフバウトレーニングのやり方と回数
仰向けになって片方の足を上げ、ゆっくりと地面におろします。
地面につく寸前で足を上げるという動作を繰り返します。
片足ずつそれぞれ10回〜20回を目安に毎日続けましょう。
アウフバウトレーニングは筋力トレーニングというよりも、関節の可動域を広げて柔軟な体の使い方ができるようになるトレーニングです。
コツコツと日々続けていくことが大事!
簡単なので、寝る前のベッドの上とかでもできますね!
アウフバウトレーニングは筑波大学体育系准教授の川村 卓先生の「新しい少年野球の教科書」に掲載されているトレーニング方法です。
「新しい少年野球の教科書」にはアウフバウトレーニング以外にも少年野球世代に有効なトレーニングが紹介されています。
大学教授ならではの、研究を応用した見たことのないトレーニング方法も多数紹介されています!
小学生のトレーニングについてのまとめ
- 走り込みは非効率
- 走り込みよりも縄跳びがオススメ
- 筋力トレーニングではなく関節の可動域を広げるトレーニングを
小学生に大人がやるようなトレーニングをしても、期待した効果を得ることは難しいです。
小学生は体の使い方を学んでいる最中なので、縄跳びのように道具を使いながらシンプルな動きをするトレーニングが向いています。
また、腹筋や腕立て伏せのような筋力トレーニングよりもアウフバウトレーニングのような関節の可動域を広げる運動をすることで、より体を上手に使えるようになる土台を作るほうが将来的な成長につながると思います。
キツいトレーニングを早くから積ませてレベルを上げたいという気持ちはわかりますが、それよりも子どもの体の特徴を理解して無理なく・楽しくトレーニングをした方が結局効率も良くなります。
自主トレにもぴったりのメニューなのでぜひ取り組んでみてください!
コメント